最近の若者たちは、われわれの若い頃に比べて小食のような気がします。ところが若手のS君は大食漢で、自炊しても一食で4合のご飯をぺろりと食べてしまうほどで、打ち上げでも頼もしい限りです。
古典落語に「蛇含草(じゃがんそう)」という大食のネタがあって、お餅を大量に食べ過ぎて、胃袋どころか食道から喉元まで餅で一杯になり、下駄(げた)を履くためにうつむくこともできず、上を向いたまま鏡を使って足元の下駄を探すというくだりがあります。
実は昔、それと同じような状況がありました。
私が20歳ごろの修業中、師匠の仕事のお供で盛岡に行ったときに名物のわんこそばを食べたのですが、食べるしりからお椀(わん)にそばを投入されてなかなかやめられない。お椀のふたでブロックするも隙間から見事なコントロールでまた投入され、結局90杯も食べてしまいました。
1杯は一口程度なのですが、蛇含草よろしく本当に喉元までそばでいっぱいになり、うつむくとそばが吹き出しそうなほどでした。今となってはその時の5分の1程度しか食べられないでしょうが、いまだにお腹(なか)の方は90杯食べたように膨らんでいるのはなぜでしょうかねぇ。
さて、去年の秋から続いている全国巡回独演会、いよいよ佳境です。
1月29日(日)午後2時、松山市民会館小ホール(愛媛)▽2月1日(水)午後7時、お江戸日本橋亭(東京)▽2月3日(金)午後2時、コルトーホール(山口、下関市)▽2月4日(土)午後2時、熊本市植木文化ホール▽2月5日(日)午後2時、久留米座(福岡)。旅行がてら、ぜひ。