「産経らくご」で人気評論を連載中の広瀬和生氏が、過去に配信した公演の中から珠玉の一席を毎月セレクト。
今月は「落語坐こみち堂11 」(令和4年5月19日公演)から柳亭こみち「女版 不動坊」をお届けします。
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柳亭こみちは男性が主役の古典落語を“女性が主役の噺”に作り変える演出で独自の道を切り開いている。『女版 不動坊』もそのひとつ。『不動坊』は講釈師・不動坊火焔の未亡人おたきが大家の仲介で長屋の吉公に輿入れすることになり、おたきに横恋慕していた長屋の男たちが二人を別れさせたくて“不動坊の幽霊”で脅かす噺。こみちはそれを「吉公に惚れていた長屋の女たちが二人を別れさせようとする噺」に作り変えているが、単純に“嫉妬する男”を“嫉妬する女”に入れ替えただけではなく、大家の代わりに登場する世話焼きの仲人おまつをはじめ、それぞれの登場人物のキャラを立たせて従来の『不動坊』にはない面白さを演出している。女性の登場人物たちが発する台詞の可笑しさはこみちの独壇場。吉公とおたきの人物設定も独特で意表を突く。こみちならではの傑作だ。
(広瀬和生)
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動画はこちらから!(10月15日~11月14日までご覧いただけます)
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