「産経らくご」で人気評論を連載中の広瀬和生氏が、過去に配信した公演の中から珠玉の一席を毎月セレクト。
今月は「第八十二回大手町落語会 」(令和5年12月3日公演)から林家きく麿「歯ンデレラ」をお届けします。
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ヘンな人たちのヘンな日常を描く爆笑新作落語の林家きく麿。トボケた口調の高い声と全身から醸し出される脱力感が一体となった独特な高座はハマったらクセになる。かつては熱心な新作ファンに支えられていたが、このところは寄席でトリを取ることも増え、他の落語家がきく麿作品を演じる会も企画されるなど、今や落語協会の新作派を代表する演者の一人と言っていいだろう。きく麿作品にはいろんなタイプがあるが、『歯ンデレラ』は最もわかりやすく誰が聴いても気軽に楽しめる一席で、寄席での鉄板ネタの一つ。“嫁と折り合いの悪い姑”という冒頭の可笑しさをそのまま押していかずに意外な方向に話を展開させるきく麿のセンスが光る。ネタそのものが短いときのマクラの面白さも定評があり、この高座でもそんなきく麿の魅力を味わえる。(広瀬和生)
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動画はこちらから!(12月15日~2026年1月14日までご覧いただけます)
※ご視聴には『産経らくご』(月額1100円)への入会が必要です。初回ご登録の方に限り、30日間無料でお試しいただけます。
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