「産経らくご」で人気評論を連載中の広瀬和生氏が、過去に配信した公演の中から珠玉の一席を毎月セレクト。
今月は第29回三遊亭兼好独演会(2024年7月29日公演)から三遊亭兼好「藁人形」をお届けします。
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三遊亭兼好の師匠、三遊亭好楽はもともと八代目林家正蔵の弟子。その八代目正蔵の演目『藁人形』を、兼好は独自の切り口で見事に自分のものにした。おくまの悪女ぶりを極めてドライに演じることで観客は西念の悔しさに心底共感し、女郎屋から追い出される際の描写は淡々とした語り口であるからこそリアルな情景として浮かび上がる。甥っ子が訪ねてくる場面での長屋の連中の会話の“落語らしさ”、西念に語りかける甥っ子の清々しさは、まさに兼好の真骨頂。この甥っ子がラストで西念を慰める台詞は聴く者の胸に響き、従来の『藁人形』にはない爽快な心地好さをもたらしてくれる。陰惨な『藁人形』を終盤の秀逸な演出で“後味のいい人情噺”とさえ言えるものに作り変えた兼好のセンスはまさに名人芸。逸品である。(広瀬和生)
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動画はこちらから!(3月15日~4月14日までご覧いただけます)
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