はじめまして、三遊亭粋歌と申します。
二ツ目(ふたつめ)の落語家です。
二ツ目ってことは、一ツ目とか三ツ目とかあるのかしら? と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、落語家(東京の場合)の階級は、前座、二ツ目、真打となっております。
私は2005年に29歳で師匠三遊亭歌る多に入門しました。かなり遅い入門です。
入門してから、泣いたり笑ったり修行して、おかげさまで来年2021年3月に真打に昇進させていただくことになりました。
落語家の本当のスタートは真打になってからと言われております。
キャリアは若手ですが、体力はすっかり中年。アラフォーでスタートラインに立たせて頂きます。
二ツ目になってすぐに、自作の新作落語を作り始めました。
私の作る落語は突拍子もない設定は少なく、日常のちょっとした出来事を題材にすることが多いです。
元々、落語家になる前に食品会社で総務部人事課の仕事をしていたせいか、働く人が主役の落語が自然と増えていきました。
人間関係に悩みながら一人で残業している女性。
意識高い系の新入社員。
産休後に職場の環境が変わってしまい戸惑う女性等々。
不思議なもので、毎回作るたびに特に意識はしていないのですが、必ず物語の中にダメな人やマヌケな人が出てきます。
古典落語にはよく出てきますが、私の新作落語にも。そして、その人達に何だか心当たりがあるような…。
あぁ、登場人物全員、自分の分身だと気が付くのです。
でも、そんな落語もお客様に笑っていただけると作ってよかったなと思えます。古典落語にもダメな人が出てくるし、新作落語にもダメな人が出てくるし、人間の根本は昔も今もこの先も変わらないのかもしれません。
今の世の中大変ですが、もやもやした日常に大切なのって、意外とこの落語マインドかもしれないなって、時々思ったりします。
試しに、皆さんもぼんやり落語聴いてみてください。
このぼんやりがいいんですよ。
【妄想亭日常】 「はじめまして」 三遊亭粋歌
