【直球&曲球】 春風亭一之輔 忙殺の一日に亡き友をしのぶ

 衆院選投開票日の2月8日は朝から晩まで忙しかった。
 投票は期日前に済ませ、午前6時からJFN生ラジオ。番組中に「選挙に行きましょ」と呼びかけ、普段ふざけたトークしかしていないせめてもの埋め合わせ。でもこの大雪でかなわない人もいることだろうし、ちょっと複雑。
 放送後、上野・鈴本演芸場へ。二つ目の勉強会的存在の「早朝寄席」がコロナ禍を経てこの度復活する。そのプレ公演として私を含めた真打ち4人が出演。勉強会なので受付、チラシ配り、太鼓など全て出演者がやるのだが、その様子を現役の二つ目さんに見てもらい、本公演につなげようという趣向だ。早朝寄席への思いをリレーする。
 雪のなか「始発で来た」というお客さんもいる大行列で午前9時には満員御礼。「二つ目の道場」が毎週日曜朝の上野名物になるとうれしい。
 昼、横浜・関内ホールでの落語会でトリ。ネタは「抜け雀(すずめ)」。不孝者の絵師の描いたスズメが父親の目に触れて勘当を解かれるという、親子二代の名人噺(ばなし)。そういえばこの日共演の柳亭小痴楽、江戸家猫八両師匠も二世の芸人。2人とも父上を早くに亡くしているなか大変な活躍ぶりだ。
 夜、新宿末廣亭(すえひろてい)にてトリで林家きく麿師匠作の新作落語「二個上の先輩」。おじさんになっても中学から変わらない先輩に振り回される後輩の苦労噺だ。
 終演後、高校の同級生とまさに「二個下」の後輩と、去年の2月9日に47歳で急逝した親友Tの一周忌をしのんで飲む。卓上のしょうゆ瓶に小さな遺影を立てかけて献杯。
 ほろ酔いで帰宅すると、テレビには「自民圧勝」の字がデカデカと。Tが亡くなった去年の今頃のことがほとんど記憶にない。そして来年の今頃、どうなっているんだろう。考えていても仕方なく、とりあえずできることをやろう、ということで翌9日はTの墓参。
 「芸人なんて意地悪なもんじゃねぇか」とブツブツ言いながらもう1本ビールを空けたら、そのままソファで寝ていた。

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