【二つ目グルメ】「桜と花見と」 昔昔亭昇

こんにちは。溝端淳平と同い歳の昔昔亭昇です。「天は二物を与えず」なんてことを言いますがあれは、うん。噓ですね。

だってそうじゃないですか! 生まれ持った総合ポイントが同じだとするなら、溝端淳平さんが「水アレルギー」とかじゃないと納得いきませんよ! 僕が溝端淳平に勝っているところなんて顔くらいじゃないですか!!

そんな不満を言っていても始まらないということで、いま持っているもの、いまできることで最大限に楽しもう! 今日はそんなお話。

3月中旬。上野公園の入り口付近にある大寒桜がきれいに花開いておりました。

ソメイヨシノより開花が早い大寒桜は濃いめの色が特徴で、付近では春の訪れを楽しむ人でにぎわっておりました。

100年以上前に作られたであろう古典落語の演目の中にも花見を楽しむ人たちが登場します。

それに加えて面白いのが、スマホや缶ビールがないだけで、やっていることは今とほとんど変わらないというところだと思います。

レモンを見ると唾液が出るように! ジョギング中、女性とすれ違うときにシャドーボクシングをするように! 日本人は桜を見ると花見がしたくなるのです!

日本人に刷り込まれたこの感情。仕事終わりに偶然桜を見かけた僕も例外ではありませんでした。

「あ、花見したい。」

ただ、このご時世ドーンと座って堂々と花見をすることもできません。

ではどうするのか!

沸々と湧き上がる花見欲! どうする! どうする!!

ふと、こんな小咄(こばなし)を思い出しました。

「いや〜花見最高だったよ! 皆んなでどんちゃん騒ぎ! やっぱり春はいいね!」

「あぁ、そうかい! で? 桜はどうだった?」

「桜…? 咲いてたかなぁ?」

そうなんです。花見をするのに桜なんていらないのです!!

要は野外でご飯を食べられればいいのです!

そんなことを思いながらアメ横を歩いているときに見つけたお店。

「アンクルジョー」

韓国屋台料理のお店でございます。

店先に8席ほどのテーブルがあり、K-popブームの影響もあるのか女子高校生がおいしそうにラーメンをすすっておりました。野外でちょこっと食べるにはちょうどいいお店!

いわゆるJKがイニシアチブを握る雰囲気の中、ふとっちょのおじさんが着席。注文したのはトッポギとビール。韓国屋台の定番メニューでございますね!

韓国のお餅「トック」。煮ているのに柔らかくなりすぎず、求肥のようなモチモチとした食感がクセになるそんな食材です。

そのトックを甘辛のソースに絡めた料理。熱々のトッポギをハフハフしながら口の中にほうり込む。

まずは口中に甘みが広がり、トックの歯応えがモチモチしていて心地いい。しばらく噛むと口の中にうまみが広がる! 甘みとうまみのコラボレーションが素晴らしい!

トック自体の素材の味にたどり着くころに口の中を襲うのが辛さ! この刺激が本当にちょうどいいんです! そしてここから真打登場でございます!

そう。ビール。ビールを流し込む!

冷えたビールが痛みを和らげてくれる! 心なしか、このビールが異常に冷たく感じるのです! 冷えた口に再びトッポギをほうり込む!

ハフハフ! 甘い! うまい! 辛い! そしてビール! ハフハフ!! 甘い!! うまい!! 辛い!! そしてビール!!

人類の夢。永久機関は上野にありました。

30分ほどでお店を後にしましたが、心はすっかり大満足! いやぁ、いいお店を見つけたな、なんて思いながら歩いておりましたら、桜の木が目に入りました。

レモンを見ると唾液が出るように! ジョギング中、女性とすれ違うときにシャドーボクシングをするように! 日本人は桜を見ると花見がしたくなるのです!

「あ、花見したい。」

永久機関がここにも。

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