チャーハンは
・パラパラチャーハン
・ふわっとチャーハン
・べちゃっとチャーハン
…の3種類に分けられるのではないかと思っております。
どれも甲乙付け難くそれぞれの良さがあるものですが、最高におなかが空いているときはどのチャーハンが適しているのか。
今日はそんなお話。
まずは「パラパラチャーハン」。
主にラーメン屋で出てくるチャーハンですね。強火でしっかりと炒められており、お米一粒一粒に噛みごたえがあります。濃いめの味付けの場合が多く、具材もさまざま。そしてラーメンとの相性が素晴らしい。
ラーメンをすすった後に、チャーハンを口にぶち込む。ラーメンを食べているのか、チャーハンを食べているのかよく分からない。でもそれが良い!
お腹減ってきましたねぇ。
続いては「ふわっとチャーハン」。
主に本格中華屋さんで出てくるチャーハンだと思います。レンゲを入れたとき、ホロっとご飯が崩れて湯気がモワッとあがる。パラパラチャーハンに比べて油感をあまり感じない薄めの味付けで、具材も卵のみなど、シンプルなものが多いですね。
味付けが濃いめの中華を食べた後、さっぱりとしたチャーハンをシメに食べるととても心地よいものです。もしくはあん掛けや麻婆豆腐などを上に掛けて食べるには、このふわっとチャーハンが適しているのではないかと思っております。
あぁ、おなか空いたぁ。
以上2種類のチャーハンを私なりに考えてみましたが、この2つのチャーハンには共通点があるということにお気付きでしょうか。
それは「脇役」であること。パラパラチャーハンはラーメンの脇役ですし、ふわっとチャーハンは中華料理の脇役です。もちろん主役にも成り得ますが、正直それだけでは少しもの足りないとも言えるのではないでしょうか。
そこで紹介したいのが、主役でしかないチャーハン!「べちゃっとチャーハン」
初めてチャーハンを作ったときの水分が多いあのべちゃっとではなく。食べ終わったときに口の周りが油でテカテカしているプロのべちゃっとチャーハンです。
「新雪園」
下北沢にある中華屋さんです。30年にわたり地元の人はもちろん、役者やバンドマンの胃袋をわしづかみにしてきた中華屋さん。
たくさんメニューがあり、目移りしてしまいそうになりますが、そこはグッと堪えてチャーハンを注文。油の光沢でキラキラと光るチャーハンの上には、これまた多めの油で焼いたであろう目玉焼きが乗っています。
まずはハジの方にレンゲを入れてみます。この段階で他のチャーハンとの違いを見せつけてきました。
「重い」
そう! パラパラチャーハンやふわっとチャーハンにはない物理的に感じる重さ!
口に入れてその訳が分かりました。まずはガツンと分かりやすい塩気を感じます。すきっ腹にこれが効く!
そして口の中においしい油が広がります! これが重いチャーハンのゆえんでした。お米が油を吸っているんです!
噛めば噛むほど口の中でじゅわーっと広がる油!この油がおいしい!
くどくないといえば噓になる! しかし! チャーハン単体でこれほどまでに満足感を与えてくれる物は他に出合ったことがない!
付け合わせで鶏ガラスープもやってきた。あっさりスープが油を洗い流す!
次はお待ちかね。
「目玉焼き黄身割りの業」の時間です! 黄身部分にレンゲを入れる。
とろーりとあふれ出す。あぁ幸せ。
そしてチャーハンと一緒にかき込む!
もう言葉など要らない! ただうまい! それだけ!
このチャーハンにラーメンを付けるとするならあっさり塩ラーメンがベストで、中華料理を付けるなら水餃子などさっぱりした物をおすすめしたいです。
他2種類のチャーハンとは正反対でございまして、ラーメンや中華料理の脇役ではなく、このチャーハンこそ主役なのです!
すきっ腹にべちゃっとチャーハン。おいしく食べるコツは口いっぱい頰張ることです! そして昇の落語を聴くコツは、つまらなくても笑うことだったりします。