落語家の楽しい仕事のひとつに「学校寄席」というものがあります。小学校の体育館などで、子供たちに向けて落語を一席打つのですが、その中で子供たちに少し意地悪をすることがあります。
「これは何を食べているでしょうか? 分かった人からドンドン答えてね!」と言って、ズルズルと麺をすするマネをすると、子供たちは「そば!」「ラーメン!」と元気に答えてくれます。
そこで僕がこう言うのです。
「みんなハズレー! 正解は胡麻味噌坦々麺でしたー!」
子供達の笑い声が体育館に響く幸せな時間です。
今日は変わり種のラーメンのお話。
東京に住んでいると、よく電車の話を耳にします。「〇〇線を使う」など、初対面で天気の話の次に出るテーマと言ったところでしょうか。
しかし、僕の生まれ育った福岡では、初対面の人と天気の話が終わると、ラーメンの話になります。「〇〇のスープが濃い」とか「〇〇の高菜はうまい」とか。
そんなところで生まれ育った僕ですが、仕事で千葉県の銚子に行ったとき、「銚子セレクト市場」という名前の道の駅に寄りました。
そこで見つけたのが「さば処 ちょくら」さんの「鯖ラーメン」でした。これがうまかった。
「え? サバ? ほう。面白い。試してみよう。こちとら昨日今日のラーメンっ喰いではない!」
博多っ子は初めて食べるラーメンに対してはかなり高圧的になるのです(笑)
早速届くラーメン。
透き通ったスープ、煮卵、メンマ、長ネギ-。具の中でひと際目立つのが、鯖チャーシュー。脳が麻痺するほど良い匂いだ! もう我慢できん!
雑にスープを一口。
「あぁ」
麺を勢いよくすする。
スープとの絶妙な一体感。魚介系ラーメンの特徴である舌の奥に残る苦味は一切ない。いやむしろ甘い! 鯖チャーシューから旨みエキスが溢れているのが見えるようです。
反射的に叫んだ!
「すみません。ご飯下さーい」
このチャーシューは、米と合うと確信しました。
「御馳走様でしたー!」
博多っ子の習性でしょうか。店を出た後、ラーメンのあら探しを始めました。うーん。そうだなぁ。強いて言うなら…。
「家から遠い!」