【hanashikaの時間。】「噺家の座る場所」 桂小春団治

噺(はなし)家の世界は古い縦社会なので、上座下座など座り位置に気を使います。大人数の宴席などでは、上座から師匠連、中堅と座っていき、若手はみんなが座った頃に下座に座り、先輩たちのお酒や料理に気を配るといった感じです。

40年以上前。道頓堀角座で大きな落語会がありました。師匠三代目春団治の他に、笑福亭松鶴(しょかく)師匠、桂米朝師匠、露の五郎兵衛師匠ら、そうそうたる師匠連が出演していました。これだけ大御所が一堂に会する寄席も珍しく、懐かしさもあってか春団治の楽屋に集まってみんなが談笑していました。

やがて師匠の出番が終わり楽屋に戻ってきたのですが、その狭い畳敷きの楽屋に師匠連がまだ車座で座っていた。当時修業中の梅団治君が師匠の着物をたたもうとするが、狭い楽屋に師匠連が車座で座っているので、着物をたたむ場所がその円陣の真ん中しかない。

仕方なくその師匠連の車座の真ん中で皆の視線を浴びながら着物をたたみだすと、師匠の怒鳴り声が。「人に尻を向けるな!」。車座の中央なのでどこを向いても誰かにお尻を向けてしまう。あたふたしながら人のいないところを見つけそこに座って着物をたたんでいると、また怒鳴り声が。「扇風機の前に座るな!」

本当に座る場所は難しい(笑)。

さて、1カ月にわたる京都東本願寺の親鸞聖人御誕生850年・開宗800年の慶讃寄席も4月29日までとなりました。毎日2回、真宗落語「親鸞で行こう」。入場無料。予約お問い合わせは東本願寺まで。

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