【妄想亭日常】 「おんどのおんど」 弁財亭和泉
女性落語家の先輩、柳亭こみち姉さんとは先輩後輩という間柄ですが、前座時代から仲良くしていただいていて、2人でいると落語のことからプライベートのことまでおしゃべりがとまりません。
昔、楽屋で散々話していたのに、帰り道でも話し続け、別れる前に少しだけ駅で立ち話と思っていたら、いつの間にか2時間経っていたことがありました。小柄でかわいい見た目とは裏腹に、パワフルでカッコいいお姉さんです。
実は、こみち姉さんと数年前から大切に育ててきたものがあります。
それは、音頭。
お祭りのときに櫓を中心にグルグル周りながら踊るあの音頭です。2人でこっそりオリジナル音頭をつくっていました。
私たちの所属する落語協会は、毎年9月に謝楽祭というイベントを開催しております。
湯島天神の境内をお借りして、縁日のように芸人たちがお店を出したり、イベントステージで踊りを披露したり。お客さまと芸人が近い距離で交流できるファン感謝デーのようなものです。
まだ2人とも二ツ目のころ、私の「謝楽祭で皆が歌って踊れるオリジナル音頭みたいのがあったらきっと楽しいですよね」という独り言のような言葉が、なぜかこみち姉さんの心にヒット。後日、「絶対喜んでもらえる」「一緒につくろう」とオリジナル音頭の制作が始まりました。
こみち姉さんの音頭に対する情熱は想像以上で、なんでそんなに熱くなれるのか聞いてみたら「だってさ、音頭のない人生と音頭のある人生どっちが素晴らしいと思う」と即、「NO ONDO NO LIFE」的な回答が出てくるくらい本気です。
やっと完成した音頭を去年謝楽祭のステージでで初披露する予定でしたが、感染症対策のため中止になってしまいました。
今年も湯島天神さんでの謝楽祭は中止ですが、なんと9月12日(日)オンラインで開催することになりました。
私たちの「落語協会非公認! めざせ公認! 落語協会どんとこい音頭」の動画も配信されます。
寄席の風が吹く音頭ができました。
ぜひ、聞いてください!