【妄想亭日常】「友達じゃない仲間達」  弁財亭和泉


おかげさまで五月中席の国立演芸場をもちまして、真打昇進襲名披露興行が終わりました。

新真打ち5人、大きなけんかをすることもなく、千秋楽を迎えることができました。沢山の応援ありがとうございました。

本来でしたら「寄席5軒、滞りなく50日間の興行を終え、無事に千秋楽を迎えることができました」と書きたいところなのですが、緊急事態宣言が延長され五月中席の初日(5月21日)が休演となってしまい、初日に主任(トリ)を勤める予定だった三遊亭れん生さんの出番が1日少なくなって、私達の興行は49日間になってしまいました。

本人は笑顔で「仕方ないよ」と言っておりましたが、れん生さんだけ割を食ってしまった感じがして、誰が悪いわけじゃないけど、他の4人は申し訳ない気持ちになりました。

コロナのバカ。

この連載が始まってから、真打昇進のことばかり書いていたのに、一緒に昇進した新真打ちを紹介していませんでした。

柳亭市江改め柳亭燕三(りゅうてい・えんざ)師匠

前座のころ、前座仲間の中で唯一毎年バレンタインチョコのお返しをくれた律義な人です。

柳家小太郎改め柳家㐂三郎(やなぎや・きさぶろう)師匠

妖怪大好きで、小柄でパワフル、バランス感覚がとてもいい人です。

春風亭正太郎改め春風亭柳枝(しゅんぷうてい・りゅうし)師匠

黙っていてもにじみ出てしまうお坊ちゃま感、大名跡にふさわしい人です。

三遊亭めぐろ改め三遊亭れん生(さんゆうてい・れんしょう)師匠

私に新作落語の書き方を教えてくれた先生、いつも冷静で穏やかな人です。

イレギュラーなことばかりでしんどいときもあったけど、一緒に修行してきた同士だからこその、阿吽(あうん)の呼吸でコミュニケーションが取れる感じは、前座のころの寄席の楽屋のようで、心地よかったです。

昔、先輩から「俺たちは友達じゃないけど仲間だろ」と言われたことが有りました。

ライバルであり商売敵、コロナ渦の披露興行を乗り切った大好きな仲間達です。

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