【妄想亭日常】「弁財亭の由来」 三遊亭粋歌改め弁財亭和泉
令和3年春、真打に昇進させていただきました。
三遊亭粋歌改め弁財亭和泉(べんざいてい いずみ)でございます。今後ともよろしくお願い致します。
おかげさまで現在、真打昇進襲名披露興行の真最中です。
「弁財亭和泉」という名前について「昔からあるの?」「何代目?」など、よく質問をされます。
この名前は自分で考えました。
私が初代です。
令和2年が始まったばかり、世間でコロナという言葉がなんとなく聞こえ始めたころ、理事会で私の真打昇進が決まったと師匠から連絡がありました。
そして、後日師匠のお宅に伺ったとき、師匠から真打昇進するにあたり独立するつもりで名前を変えなさいと言われました。
しかも、師匠の名前「三遊亭歌る多」の「亭」の字以外を使わずに。
ぼんやりと三遊亭粋歌のまま真打昇進するのだろうと思っていた私は、あまりの衝撃に驚き戸惑い、放心状態になりました。
でも、時は待ってくれません。
名前が決まらなければ、真打昇進の準備も始められない。
その日から、寄席文字の師匠に相談したり、昔からある名前を調べたり。
連日、テレビやネットニュースで過熱するコロナの話題。世の中が大きく変わり、動いている。そんな感覚を肌で感じる日々。男性ばかりの落語の世界で、東京の女性の落語家の道を切り開いた師匠。そして、独立するつもりでと言った意味。
沢山のことを考え、令和という新しい時代が始まったばかりということもあり、まったく新しい名前を作ることにしました。
亭号の『弁財亭』は、弁才(しゃべる才能)で財をなす、落語でご飯が食べていけますようにという縁起を担いでいます。『和泉』は、新作落語のアイデアが枯れることなく泉のように出てきますようにと願いを込めました。
できたてほやほやの名前ですが、これから沢山の人に知って頂けますように精進いたします。
そして、100年後の落語家名鑑に「弁財亭和泉」の名前が残っていたらうれしいなとわくわく妄想しています。