【hanashikaの時間。】「『はめもの』と気候風土」 桂小春団治

10月末から「上方落語がやってきた」と題して、全国11カ所を回る独演会を開催しています。

上方落語特有の「はめもの」という、落語の話の中に三味線や太鼓がBGMや効果音として入る本格的な上方落語を地方でも聞いてもらうため、大太鼓に締め太鼓、銅鑼(どら)に当たり鉦(がね)、拍子木などの鳴り物のほか、見台・膝隠しという、これまた上方落語独特の道具まで持って各地を移動しないといけません。もちろん三味線弾きも同行します。

ところが楽器というものはその土地の気候風土に影響を受けやすいのか、毎年行く九州の大牟田ではいつも大太鼓が湿気(しけ)て皮がたるんで「デロンデロン」という鈍い音になる。

ホールなら舞台スタッフに頼んでスポットライトを一灯借りて太鼓に照明を当て、その熱で乾かしたりするのですが、ホールではないところで太鼓が湿気たときは、ストーブのそばに置いたり、ドライヤーを借りて根気よく熱風を太鼓の皮に当てたりと大変です。

海外公演の時などは髪のセットのためではなく、太鼓が湿気たときのためにその国の電圧に対応したドライヤーまで持参するという念の入れようです。はめものがない江戸落語の人は、地方では出囃子(でばやし)もテープだから楽やなぁ。

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