まくら―。
僕ら落語の世界でまくらといえば、落語のネタに入る前におしゃべりをすること。落語の頭に付くからまくら。
これはあくまでも私個人の考えですが、まくらは私のように世間で知られていない噺(はなし)家にとっては、とても大事なツールです。客席には落語ファンだけではありません。初めての方も多くおられます。地方へ行けば私を知らないお客さんばかりです。
このまくらによって鉄瓶を知っていただく。
「僕のことを知らなくても意外と楽しいやつでしょ?」「ええ感じでしょ?」「では落語しますねー」と全ては落語を演(や)りやすくするためです。1分でも早くお客さんとお友達になるツールという考えでおしゃべりをしております。
ここで大事なのが、まくらが盛り上がり、しゃべりすぎると、メインの落語がウケません。私はちょいちょい、これをやらかしてしまいます。だって笑ってくれるんだもん(笑)。
反省をし、今では独演会にて、洋装スタンダップでしゃべるだけの時間を作っています。これが師匠の鶴瓶に憧れた原点ですから。
そんなトークも落語もある独演会。神戸新開地・喜楽館で初めて開催します。鉄瓶の日常をスケッチしたトークとゲストミュージシャン、片山尚志による弾き語りのコラボ。落語は上方落語の大ネタ人情噺「たちぎれ線香」を口演します。皆さんに楽しんでいただける趣向でお待ちしております。
4月2日(土)午後6時開演。全席指定で間隔を空けてお座りいただきます。予約・問い合わせは三栄企画(06-6631-0659)。