若手だった当時、先輩方から「高座に上がったら、うまくしゃべろうと思わず、とにかく大きな声で明るくしゃべれ! 年がいくと自然に声量が落ちてしまうから、若い間は思い切り声を出せ! 客が100人まではマイクは要らん。生声でいけるから! 元気よくしゃべってると熱意が伝わり、客席の雰囲気も良くなる。客席の空気づくりが若手の仕事、前座の心意気や!」とよく言っていただきました。
私はアガリ症で「噺(はなし)が途中で止まったらどうしよう?」「間違えたらどうしよう?」とドキドキしながらも、先輩方の教え通り、毎回大きな声で高座に臨みました。
うまいへた、ウケるウケないは別として、一生懸命やっていると、お客さまからも「頑張りや!」と声援を送っていただけるようになりました。今も「明るく」「元気よく」の姿勢は守っています。
入門して初めのうちは前座噺を教わります。最近、鰻谷(うなぎだに)寄席や落語会で、よく前座噺をやらせていただく機会がありますが、すごく楽しいです。若手の頃はしゃべるだけで精いっぱいでした。今は教わった当時と台詞(せりふ)もだいぶ変わってますが、急にアドリブも出せて…。
もうすぐ36回目の入門記念日です。師匠の「落語は、ジャズや!」と、笑福亭鶴志兄さんの「落語は、絶えず生きてなアカン!」という言葉が、少しずつ分かってきたような感じがします。
笑福亭鶴二独演会
天満天神繁昌亭で4月2日(日)午後6時開演。前売3000円、当日3500円(チケットぴあPコード=597-700)。
出演と演目は、笑福亭智丸「転失気」▽笑福亭鶴二「餅屋問答」▽林家うさぎ(ゲスト)「莨の火」-で、対談(林家うさぎ・笑福亭鶴二、司会=笑福亭智丸)、仲入り後に笑福亭鶴二「宿屋仇」。問い合わせは笑福亭鶴二後援会・辻(090-3263-0435)、天満天神繁昌亭(06-6352-4874)。