高校生で師匠=六代目笑福亭松鶴(しょかく)宅へ休日に通い、着物の着方やたたみ方を覚え、一門の落語会にも数回、出演させていただけるようになりました。
しかし、ネタが「平林」の1席だけでしたので、兄弟子から「『東の旅 発端』からお稽古したらどうや?」という助言が。師匠からもお許しが出て、松葉兄さんの元でお稽古に通うことになりました。夢に見た差し向かいでの落語の初稽古。うれしかったです。
「東の旅 発端」という噺(はなし)は、落語ファンならご存じかと思いますが、噺家の口慣らし、口上のようなもので、見台(演者の前に置く机のようなもの)を張扇(はりおうぎ)と小拍子でガチャガチャたたいて音を鳴らしながら、大きな声を出す訓練や抑揚のお稽古をいたします。
「発端」は、会話文ではなく地の文で地名なども多いので、覚えにくいこともあり、先に予習のために原稿をくださいました。
お稽古では、まずは何回かに区切ってせりふだけを聞いていただきました。最終のお稽古のとき、目の前で張扇と小拍子で見台をたたきながらしゃべるお手本を見せてくださいましたが、たたきながらしゃべるのは、難しいからということで、舞台でせりふだけをしゃべることに。
後から聞きましたら、私のすぐ上の鶴笑兄さんも同じで、お客さまの前でたたきなしでやられたそうです。今となれば当時、せりふだけで演じたのが本当に良い思い出となり、高座でもマクラでよくしゃべらせていただいております。
この後、引き続き、東の旅の「軽業」というネタをお稽古していただきました。このお話は、またの機会に。
門戸寄席1周年記念特別公演 笑福亭鶴二落語会
「門戸寄席1周年記念特別公演 笑福亭鶴二落語会」を11月27日(午後2時開演)に門戸寄席J:SPACE(西宮市下大市東町)で。予約・問い合わせは門戸寄席事務局(電話=070-3603-3192、メール=jspace_event@yahoo.co.jp)