【直球&曲球】棄てな棄てな、まじなプライド 春風亭一之輔

君たちはどう生きるか、と問われれば「基本的にふざけて生きてます」と答えることにしている。

先日、私の所属する落語協会のファン感謝祭「謝楽祭(しゃらくさい)」が東京・湯島天神で行われた。芸人の模擬店やステージ企画で沢山のお客さまがつめかける、年に1度のビッグイベント。私も今回は弟子たちとなんかやるか! と立ち上がった。

「落語にまつわるアレが存在した!」をテーマに「アレ」を作成し、オークションを開催。例えば、「寿限無(じゅげむ)」の主人公の1年1組の時の名札(ただの市販の名札に長い名前を書き込んだもの)。「元犬」の主人公シロのサイン入りブロマイド(フリー素材の犬の写真に『早く人間になりたい シロ』と書いたもの)。「粗忽(そこつ)の釘(くぎ)」の主人公が壁に打ち込んだ長い釘(蜘蛛(くも)のフィギュアに釘を貫通させ、ダメージ加工を施したもの)などなど…。落語好きが見ればついほほ笑んでしまうグッズを、「なんと実在したんですよ!」という口上付きでセリにかけてみると、名札が3千円、釘が2千円、ただの犬の写真が5千円で売れた。

次に本当に「あくび指南」をやった。私があくびの師匠に扮し、10分間の本気のマンツーマン指導。テキストも作り、免状もその場で書く。1人1万円。さすがにこれは無理かと思ったら5人来た。落語ファンはシャレがわかる。おふざけを真面目にやるとこんなに楽しいものなのか。みんなニコニコ笑顔。暑さでやられただけかもしれないが…。よし、来年は3万円にしてみようかな。

ジャニーズ事務所の会見の日の夜、産経新聞社主催の落語会。お囃子(はやし)さんに「出囃子は何にしますか?」と聞かれて、「『仮面舞踏会』で!」「了解です!」。すぐ弾ける方もどうかしてるが、意外と出囃子にピッタリだった。客席はちょっと変な空気になったけども。これからもシャイな言い訳、仮面で隠してふざけてみようと思う。

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