大谷翔平選手が審査員満票で、2度目のアメリカン・リーグMVP受賞。しかも日本国内の全小学校約2万校に子供用グラブを3つずつ、計6万個を寄贈すると自らのインスタグラムで発表。3つのうち2つが右利き用で1つが左利き用。もう行き届き過ぎていてぐうの音も出ません。
 大谷選手は「野球しようぜ!」と記した文字や、段ボール箱にグラブを詰めた写真も投稿しています。「落語家も全校に扇子3本ずつ寄付しましょうかね、『落語やろうぜ』って…」が最近寄席ではやりのマクラ。1日3人くらい寄席で言いがちです。扇子1本2千円としても高額過ぎて無理なんですけどね。情けない…ぐう。
 どのジャンルも「裾野を広げる」ためにどうしたら良いか、頭を悩ますところでしょう。コロナ禍以降、落語家になる人が減っています。多ければいいという職業ではありませんが、なり手がいなきゃいないで困ってしまう。
 落語家はスカウトするものでなく、意中の師匠に弟子志願し許されれば弟子として認められるもの。今のところ「真打ちの師匠に入門して初めてプロ」というルールは辛うじて残ってますが、「素人落語家」としてお金をとって仕事をしている人もいます。なかにはプロよりうまいおじいさんアマチュア噺家なんてたくさんいます。
 このあたりの公的なルールがないに等しいので、今後は独学で落語を習得し生業にする人も増えるかもしれません。正直現在まで素人さんに侵食されずにもってるのが不思議なくらい。でもいわゆる「プロ」でなくても、面白くてうまくてお客さんがお金払ってもいいと思える落語家が現れるのは、われわれにとっては脅威でもありますが本当に裾野が広がるってそういうことなんでしょう。圧倒的な技術とセンスとメンタルのある大谷選手みたいなプロの落語家がいれば、プロと素人の曖昧な垣根を保てるのでしょうけど。
 落語界もこれからどうなっていくかまるで未知数。ひとごとみたいに言ってますが、ちょっとこれからが楽しみなのです。