「産経らくご」で人気評論を連載中の広瀬和生氏が、
====
2022年度の「NHK新人落語大賞」の受賞で注目された立川吉笑はアクロバティックな論理を駆使した新作落語を武器に快進撃を続け、今年6月には真打昇進が決まっている。吉笑作品には現代を舞台にするものもあるが、多くは江戸時代設定の“擬古典”で、『小人十九』もそのひとつ。また吉笑は立川談笑の弟子で基本的には江戸落語の系譜に属する演者だが、もともと京都出身であることも手伝い、あえて上方言葉を喋る人物を登場させることもある。その“擬古典”と“上方言葉”という吉笑の二大特性が意外な形で一体化した『小人十九』は、「テレビ出演した後で視聴者から“言葉遣い”に関してお叱りのメールが来た」ことを語るマクラが作品そのものと一体化した構成が秀逸。この作品で吉笑は2023年度「全国若手落語家選手権」で優勝している。現代の全国民が巻き込まれた“あの異常事態”を想起させる騒動が江戸の町に勃発したという設定の『小人十九』は、吉笑という演者の唯一無二の個性を端的に表わす傑作だ。(広瀬和生)
===
動画はこちらから!(5月15日~6月14日までご覧いただけます)
※ご視聴には『産経らくご』(月額1100円)への入会が必要です。初回ご登録の方に限り、30日間無料でお試しいただけます。
詳細・お申込みはこちら