「産経らくご」で人気評論を連載中の広瀬和生氏が、
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落語には古典と新作の中間のような“改作”という存在がある。古典落語を元ネタとしつつ舞台を現代に移したりして別の噺に生まれ変わらせる手法だ。鈴々舎馬るこは寄席で活躍する爆笑改作派で、『糖質制限初天神』は代表作と言える一席。初天神とは正月25日の天満宮の縁日のことで、大正から戦前にかけて活躍した三代目三遊亭圓馬が上方から東京へ移した『初天神』は子供が縁日で父親に「あれ買って、これ買って」と駄々をこねる噺だが、馬るこの『糖質制限初天神』は逆に駄々をこねて甘いものを買いたがる父親を娘がたしなめる。古典の『初天神』では、実は父親が参詣にかこつけて女遊びをするつもりで、それを察知した女房が浮気防止のために息子を連れていかせたという解釈があり、『糖質制限初天神』の設定はむしろそれに近い。鉄板ネタ連発のマクラと相まって、馬るこならではの爆笑編に仕上がっている。(広瀬和生)
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