「産経らくご」で人気評論を連載中の広瀬和生氏が、
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柳家小ふねは小里ん門下の二ツ目。落語の世界で、演者自身が持つ“何とも言えない可笑しみ”のことを“フラ”と言うが、小ふねの高座はまさにフラ全開。その独特な個性を噺に注入することで、ポピュラーな古典の滑稽噺を新鮮に楽しませてくれる演者だ。今回紹介する『鈴ヶ森』は新米の泥棒が“ボケ”、親分が“ツッコミ”として会話を進行させていく噺だが、この二人の距離感が絶妙で、他の演者にない“クールなバカバカしさ”を醸し出している。アタフタしていながら妙に冷静な新米の意表を突くボケの可笑しさは小ふねの真骨頂。ラストで新米が追いはぎを実行するくだりがここまで面白い『鈴ヶ森』も珍しい。この高座は前座から昇進してまだ半年ほどの時期に収録されたものだが、既にある種の“図太さ”さえ感じられる。どこか突き放したような小ふねの“我が道を行く”空気感は唯一無二。この可笑しさにハマったら、追いかけずにはいられない。(広瀬和生)
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