先日、5歳になる娘と散歩をしていると、剣道部と思われる学生が私服で竹刀をもって素振りをしていました。それを見た娘が「見えない敵と闘っている!」と言い出した。
「このパソコン古いし重たいわ」「あなた、データ入れすぎやで」という妻との会話を聞いた8歳になる息子は「いっぱい入れたら重くなって机が壊れるよ」と言った。
なるほど。
娘に素振り=練習、という概念はない。息子は重たい=荷物や体重などの目方、なのだろう。
大人になって知恵やその場をグレーでごまかす能力は身につけることができたが、その代わりに物事を何も考えずに真っすぐ見る能力は奪われたような気がする。これはお客さんを楽しませる仕事をしている人間にとっては、かなりのマイナスなのかもしれない。
もちろん場の空気を読むのは絶対だが、ここっていうときのこの真っすぐな感覚は本当に大事だと思う。
特に僕の落語は「自分が本当に好きで楽しいと思っている噺(はなし)なんです。楽しいでしょ? お客さん」と、スキルではなく「『気』の疎通」を目指しているので絶対に必要です。
これは僕個人の気持ちですが、とにかく「◯◯とはこうあるべきだ」という感覚から脱却しないといけないな。
まずは3月17日(木)天満天神繁昌亭にて午後7時開演の「鉄瓶・雀太ふたり会」でネタ出しをしている「茶屋迎い」をどう料理するか。桂文珍師匠にお稽古していただいた大好きな噺です。ぜひ聴きに来てください。前売3千円。問い合わせは三栄企画(06-6631-0659)。