「産経らくご」で人気評論を連載中の老舗ヘビメタ雑誌編集長にして落語評論家の広瀬和生氏が、過去に配信した公演の中から珠玉の一席を毎月セレクト。
2月は「ミテ!演芸会」第二回 夜の部( 令和6年1月20日公演)より、林家つる子「芝浜」をお届けします。
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柳亭こみちは先月の「オススメ」で取り上げた『女版 あくび指南』のように、登場人物を男性から女性に置き換えることで古典落語を創り変えているが、2024年3月に11人抜きで真打昇進した林家つる子は、二ツ目時代から『子別れ』『紺屋高尾』『妾馬』といった古典の大ネタに登場する女性にスポットを当てる演出を試みてきた。その代表的な演目が『芝浜』で、つる子は魚屋の立場からではなく女房おみつの立場から見た『芝浜』を演じている。かつて誰も描いたことのない「勝五郎とおみつの馴れ初め」から演じる構成は画期的だが、その“馴れ初め”こそが物語の鍵を握っているという点にこそ、つる子の創作力の非凡さがある。従来のハッピーエンドとは一味違うエンディングも爽快だ。歴代の男性演者による『芝浜』を愛する落語ファンこそ、つる子の改作にぜひ触れてみてほしい。(広瀬和生)
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動画はこちらから!(2月15日~3月15日までご覧いただけます)
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