「産経らくご」で人気評論を連載中の老舗ヘビメタ雑誌編集長にして落語評論家の広瀬和生氏が、過去に配信した公演の中から珠玉の一席を毎月セレクト。
3月は立川志らく「『たまや』~シネマ落語/天国から来たチャンピオン~より」(「2022今年最後の立川志らく独演会(第12回)」2022年12月17日公演)をお届けします。
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立川志らくの専売特許と言うべきものに“シネマ落語”がある。これは、志らくが真打昇進の一年前から取り組んできた創作落語のジャンルで、映画に関しては評論家レベルの知識と愛を持つ志らくが、好きな映画のストーリーを、舞台設定を古典落語の世界に置き換え、新たな落語として成立させたもの。過去70席ほど作っており、2001~2003年頃には「落語ファンではないけどシネマ落語が好き」というファンが独演会「志らくのピン」に足を運ぶようになった。
シネマ落語は原作の映画を知らなくても普通に落語として楽しめるように出来ている。中でも『たまや~シネマ落語/天国から来たチャンピオン~より』は人情噺の傑作。花火職人辰吉と長屋の娘お玉の純愛を描くこの作品は、2004年7月によみうりホールで開催された「談志一門会」で立川談春の後に高座に上がった志らくが、談志の目の前で演じたほどの自信作だ。2006年、志らくはこのシネマ落語を演劇化した『はなび』を自身が主宰する劇団「下町ダニーローズ」で上演、そこで生まれた「そいつは俺」という名台詞は以降のシネマ落語にも導入され、さらに感動的な物語になった。ラストの再会シーンは、まさに「胸キュン」もの。(広瀬和生)
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動画はこちらから!(3月15日~4月15日までご覧いただけます)
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