先日、地方の中学校にお声をかけていただいた。開演時間は授業でいう5時間目。学校に着くと、ちょうどお昼休み。控室に案内されて廊下を歩いていると、ほとんどの生徒が「こんにちは」と挨拶をしてくれて気持ちがいい。この時に確信する。今日は「ウケる」と。
集中力や想像力はもちろん大事ですが、生徒さんに落語を受け入れてもらいやすいのは「素直な心」だと私は思うのです。
いま落語会にご来場いただくお客さんの年齢層はかなり高め。私の世代(40代)以下のお客さんはほんのわずか。これは危機なのだと僕は感じています。私が師匠クラスの芸歴になったとき客席は…。
そのため、ご新規さんや生徒さんに落語の楽しさを知ってもらい、寄席へ来てもらう。学校公演はそういう意味でも落語に触れてもらう大事な場所なのです。
しかし、その反対になることもあるのです。なぜか? 学校公演は生徒たちのオファーではなく大人が決めています。いわば無理矢理に落語を聴く時間になることもあるのです。
腕のある人でも嫌だと思っている人を納得させるのは至難の業です。この「挨拶」ができるという素直な行動が、未知の落語を受け入れてくれるかどうかの重要なはかりになるのです。あくまでも「鉄瓶調べ」ですので。
諸先輩方が引き継いでこられた落語界。私たちも次の世代にバトンを渡せるようにならないと。
上方落語ユニット「五楽笑人」の会
12月24日(土)、心斎橋PARCOのSPACE14で。午後2時開演。松竹芸能(06-6258-8085)。