令和3年もあとわずかになりましたね。年を重ねるごとに日が過ぎてくのが早く感じて仕方ありません。
さて、噺家(はなしか)にとって今月は「事始(ことはじ)め」という行事があります。一門が師匠の元に集まり、少しかっこよく言いますと、師匠に1年間の感謝の気持ちを伝え、来年の変わらぬお付き合いを願うごあいさつを行う日なんです。
京都の芸妓(げいこ)さん、舞妓(まいこ)さんは12月13日に行うのですが、笑福亭鶴瓶一門は師匠の都合で、今年は12月12日。
他の一門の様子はよくわかりませんが、鶴瓶一門では、まずは弟子(でし)たちがそれぞれ師匠の部屋に行き、ごあいさつをさせていただきます。その後、ダイニングに移動して、師匠からお酒を筆頭弟子から順に盃(さかずき)に注いでもらい、それぞれ一口ずついただくという、ちょっとした儀式があります。
その後は師匠の奥さまに作っていただいた食事を、みんなで和気あいあいと食するという流れです。しばらくすると、今度は師匠から、扇子と手拭い、それにお年玉をいただきます。
なんともうれしい瞬間です。しかしそのお年玉を、師匠が食卓を離れた瞬間に弟(おとうと)弟子の銀瓶さんが全員分、集めに来ます。
自分たちで決めたことなのでわかってはいるのですが、うれしかった気持ちもほんのつかの間、一気にむなしい気分に変わってしまいます。このお金は弟子みんなで使わずに積み立てています。
そもそも12月13日の事始めは正月の準備を始め、その年のけがれを落とし、年神様をお迎えするための行事らしいです。だから正月事始めとも言うそうです。