私は落語を演じるうえで大事にしていることは「腹でしゃべる」です。テクニックや理論はもちろん大事ですが、一番は真っすぐな気持ちだと思います。
この噺(はなし)がとにかく好き、この噺のこのせりふが言いたい。その気持ちの熱量がお客さんに伝わると信じています。
しかし、物事を違う角度から見ることも必要だと考えます。どういうときに必要か? こういうコラムの内容を考えるとき、落語のマクラ、ラジオでのトークなど。話が単調にならないようにしなければなりません。
そう思うと子供の発想力はうらやましいですね。大人は良いも悪いも物事を知ってしまっているので、子供のような真っすぐな発想が浮かびにくい。大人はこれはこういうものだ、それが当たり前なんだ、と疑わない。中には浮かぶ大人もいますが、俗に言う天才型の人でしょうね。
無知だからこそ浮かぶ発想力。だから私のような凡人は、時には違う角度から物事を見たり、疑ったりするのがトークの幅につながると思います。要するに、売れっ子の落語会だけがいいのではないのです。
天満天神繁昌亭にて5月27日午後6時半開演の「笑福亭鉄瓶の学び舎繁昌亭」。ゲストに露の新治師匠をお迎えして十八番の「井戸の茶碗(ちゃわん)」を披露していただきます。前売り3000円(全席指定)。予約、問い合わせは三栄企画(06-6631-0659)。以上、宣伝したいがためのテーマでした。