前担当回で、師匠の奥さまに三味線を教えていただくことになり、譜面を使わない、見て聞いて覚えるという初稽古の様子を書かせていただきました。まったく三味線の経験がない私には、これは大変でした。三味線を持って構える形だけでも精いっぱいでしたから…。
奥さまも対面で弾きながら「ここ!違う!ここ」と言われますが、なかなか覚えられません。奥さまによく「あんた!そんなんで落語、覚えられんのんか?」と叱られました。事実、私は落語の覚えも悪いのですが…。
帰宅しては、お年玉の貯金で買った三味線をよく弾いていました。いや、まだ弾くというところまでいってません。撥(ばち)を当てているというだけでしたが…。
しかし、少しでも音が鳴り、勘所が分かってくると、少し楽しくなってきました。奥さまも月に2、3回くらいのお稽古でしたが、私が「さくらさくら」をゆっくりですが弾けるようになってくると、替手(かえで)を入れて合奏してくださいました。うれしかったです。
2カ月たつと、奥さまが「『さくらさくら』はとりあえず、もうええ! 次は『お江戸日本橋』やで」と言って、お手本を弾いてくださいました。うわー今日から2曲目やと喜んで聞き入っていると、「さあ、やってみ!」と言われ、慌てて三味線を構えましたが、今度は撥をすくう、指を弾くという新たなテクニックが出てきましたので、難航いたしました。
それでも、時間をかけてお稽古していただいている間に、自然に弾き歌いが少しできるようになってきました。これがまたさらに楽しくなってきたのです。帰宅してはいつも弾き歌い、私がお座敷の宴会気分のようになってきました。この続きは、次の担当回で掲載させていただきます。
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新京橋商店街(大阪市都島区)のビギンホールで10月19日(火)に「第112回ビギン寄席」。午後6時半開演。出演は露の都▽笑福亭鶴二▽笑福亭由瓶▽桂源太-。料金は前売1千円、当日1200円。問い合わせはビギンホール(06・6353・7308)。