パラリンピックも終わりましたが、実は260人ほどの小さな団体である上方落語協会にも、全盲や電動車いすに乗っている、障害がある噺(はなし)家がいます。
目が見えなくても舞台袖から高座までロープをはわせ、足の裏で確認しながらつえなしで高座に上がったり、病に倒れて全身まひが残り、車いす生活になったけれど、片手で器用に太鼓のバチを握りお囃子をする仲間もいます。
毎年、病気や事故で障害者になった「中途障害者」支援のチャリティー落語会に出演しているのですが、高座の横に手話の同時通訳がついて、聴覚に障害のある方にも楽しんでもらえるような落語会です。
今はそんな形式も当たり前になってきましたが、僕が修業中の40年以上前、師匠(先代春団治)に付いて聴覚障害者のチャリティーイベントに行ったのですが、同じように高座の横に手話の同時通訳がついている。当時はとても珍しい光景でした。
ところが聴覚に障害のあるお客さんは当然のことながら、手話の同時通訳者ばかり見てゲラゲラ笑っているのです。「これやったら手話通訳が落語の本そのまま訳したら、春団治いらんやん」と思うような不思議な光景でした。
さて、お知らせです。9月25日(土)午後6時から「桂小春団治独演会」を開催します。昨年はコロナ禍で中止となったため、2年ぶりの独演会となります。
場所はドーンセンター7階ホール(大阪市中央区)。古典の「植木屋娘」と書き下ろしの新作「ささやかな虚栄心」の2席。客席を半分にしてお待ちしております。前売3千円、当日3500円。ぜひお運びを。問い合わせは松竹芸能(06・6258・8085)。