前回は「師匠の奥さまの大宴会」というタイトルで書かせていただきました。宴会のときに奥さまが三味線を持って弾き歌いされている姿はイキイキとされて、かっこよかったです。
そのことが忘れられず、ある日、一緒に市場へ買い物に行かせていただいたとき、奥さまにお話を聞くと「昔はよく兄弟子たちに三味線を教えた」と話してくださいましたので、「私にも三味線を教えていただけないでしょうか?」とお尋ねすると、「ええで!」と引き受けてくださいました。本当にうれしかったです。
後日、奥さまが三味線を買いに行くのに付き合ってくださいました。「初めはそんなええ三味線は、いらん!」と言って、住吉大社の近くの古道具屋さんへ連れて行ってくださいました。
奥さまは「学生でお金ないから安くしてやってください!」とお店の方に頼んでくださり、私のわずかな貯金でも購入できました。
楽器屋さんで木撥(きばち)と指擦(ゆびす)りと駒を買い、いよいよ初稽古です。奥さまと差し向かいで、初めは三味線の構え方と撥の持ち方から。奥さまのお稽古は、譜面がありませんので、全て聞き覚えです。
「はい、三味線構えて!」「ええか、私の一の糸(一番上の糸)の音に音を合わせんねんで」と言われ、何とか合わせることができました。
「初めは『さくらさくら』をやるから、よう見ときや」と言われ「♪さくら さくら やよいの空は 見わたす限り♪ まずは、ここまで!」と弾き歌いをされ、「やってみ!」と言われましたが、三味線のどこを押さえていいのかわかりません。
私が汗をかきながら戸惑っていると、奥さまが対面で三味線を持ちながら、「ここ! ここや! 違う! ここ!」と言いながら稽古が始まりました。続きは、次の担当回で掲載させていただききます。
◇
「繁昌亭15周年特別公演 笑福亭松鶴(しょかく)一門ウィーク」で、9月2日(木)午後2時から。出演は笑福亭鶴光▽明石家のんき▽笑福亭円笑▽笑福亭仁昇▽笑福亭鶴二▽笑福亭風喬▽笑福亭呂好▽森乃阿久太-。問い合わせは天満天神繁昌亭(06・6352・4874)。