県外の人に「あなたの出身県の名所・名物・出身の偉人を教えてください」と急に聞かれたら、千葉県出身の私はけっこう困る。
ここからは私個人の感想。千葉県民は千葉愛が…そうでもない。下総、上総、安房と気質もバラバラで交通の便もよくない。
「千葉は海が近くていいですね」とか言われても、北西部の野田市出身の私からすると九十九里浜なんてはるかかなたの観光地だし、ディズニーランドも「東京」ってわりにはわざわざ千葉に居てもらってすいませんという思いが強い。(浦安市)舞浜は東京に売っちゃって、名実ともに「東京ディズニーランド」になってもらったほうがスッキリしてよいのでは…。
そんな戯言を口にしてたら群馬県出身の妻があきれた顔で、「千葉には『上毛かるた』がないからよ」と言う。上毛かるたとは群馬県の名所名物偉人を歌に読み込んだ、群馬県民が子供のときから慣れ親しみ、全県民が誦じることのできる(?)ステキアイテムらしい。
「『つる舞う形の群馬県』という札があるから、日本人は群馬の形状を知るのよ」。いや、群馬のカタチなんて気にしたこともなかったが。
「『世のちり洗う四万温泉』は女性の裸が描いてあるから、取るとスケベ扱いされて男子は取りにくかったのよ」。群馬県民は小学生か。
「ろの札は『老農 船津伝次平』」「『ろうのう』って?」「年取ったお百姓さんでしょ? 知らないの?」「知らないよ」「県民には常識っ!」「どんな人なの?」「…そんな細かいことはいいのよ!!」。知らないんじゃないか。
たしかに周囲の群馬県民に県情報を聞くとスラスラと出てきて、地元への愛がかなり強い。探せば千葉にも似たようなかるたがあるにはあったが、浸透度が桁違いだ。かるたで郷土愛が深まるなんてステキ。「雷と空風 義理人情」。「義理人情」も自分のとこの名物にしちゃうなんて。上毛かるた、おそるべし。
【直球&曲球】かるたで深まる郷土愛 春風亭一之輔
